1 業種
住宅建築
2 事案の概要
ご相談企業様から、コンサルティング契約の相手方の対応に不信感があり、契約を解消したいとのことで、ご相談いただきました。
このコンサルティング契約に係る契約書では、契約期間が1年間の自動更新である旨が定められており、中途解約に関する条項がありませんでした。
そのため、コンサルティング契約の相手方は、中途解約は認められないと主張し、ご相談企業様との間でトラブルになっていました。
3 当事務所の対応
当事務所の弁護士は、契約書に中途解約に関する条項が置かれていないことから、一方的に解約の主張を押し通すと、裁判などの大きな法的紛争を招きかねないと考えました。
そこで、当事務所の弁護士は、ご相談企業様と方針を協議のうえで、双方の主張の中間的な落としどころを探る交渉を行いました。
当事務所の弁護士による交渉の結果、契約の相手方が当初は残期間のコンサルティング料金の全額を要求していたのに対し、半額の解決金を支払う内容で解約するという合意を取り付けることに成功しました。
その後、ご相談企業様では、今回のトラブルを教訓に、今後は諸々の契約の締結前に、契約書を当事務所の弁護士のチェックに回し、法的リスクを精査させていただく体制を取ることとなりました。
4 対応のポイント
コンサルティング契約のような継続的契約に係る契約書では、「〇年間」という契約期間が定められることが通常ですが、「〇か月前に通知することにより、契約を中途解約することができる」という中途解約に関する条項が置かれていないことが少なくありません。
この場合、契約期間の途中で契約関係を解消したいと思っても、契約の相手方が解約を認めなければ、契約を切ることができないのが原則です。
契約の中途解約を主張する側は、仮に裁判になれば負けてしまう可能性が高いため、相手方の同意のもとに契約を解消するべく、うまく交渉していかなければなりません。
また、そもそも、中途解約ができないことを十分に認識しないまま、継続的契約の締結をしてしまうことのないよう、契約締結前に弁護士に契約書のチェックを依頼し、法的リスクに関する助言を受けておくのがよいでしょう。