不動産の差押えとは
不動産の差押えとは、裁判所を利用して、相手方が所有する土地、建物、マンションなどの不動産の処分を禁止し、競売にかけて現金化して、そこから配当を受けて債権を回収する強制執行の手続です。
不動産の差押えでは、不動産競売の申立てから、売却代金の配当を受け取るまで、進捗状況を確認し、書類を追加提出するなどの手順があるため、法律の専門家ではない方がご自身で行うには、困難な部分も多いと言えます。
法律の専門家である弁護士のサポートを受けられることをお勧めいたします。
不動産の差押えの特徴
不動産の差押えでは、不動産の状況によって異なりますが、配当を受け取るまでには、1年前後は見込まれるとお考えください。
また、競売の手続を進めてもらうために、裁判所へ100万円程度の予納金を納める必要がありますので、手軽に利用できる制度ではありません。
しかし、不動産は、法務局で登記簿謄本を取得することによって、相手方が所有していることや抵当権設定の有無などを容易に確認することができますし、まとまった金額で売却することが期待できるため、債権回収の切り札のひとつと言えるでしょう。
なお、差押えの対象となる不動産に他者の抵当権が設定されている場合には、抵当権付きの債権が優先的に配当を受けることになります。
そして、抵当権付きの債権の額が売却代金の額を上回ることになれば、不動産を差し押さえた債権者は1円も配当を受けることができません。
そのため、差押えの対象となる不動産に抵当権が設定されているかどうか、設定されている場合には抵当権付きの債権の額がいくらなのかを、事前に可能な限り調査しておく必要があるでしょう。
不動産の差押えの手続の流れ
不動産競売の申立て
相手方が所有する不動産を差し押さえるためには、まずは裁判所に不動産競売の申立てを行います。
不動産競売の申立てを行うためには、訴訟手続で支払を命じる判決を得るとか、支払を約束する訴訟上の和解が成立するなど、「債務名義」と言って、債権について差押えを可能とする公的な証明を受けていることが必要です。
そのため、訴訟などの手続を経ずにいきなり相手方が所有する不動産を差し押さえることはできません。
不動産競売の申立ては、所定の事項を記載した申立書を作成し、債務名義(判決書・和解調書など債権について公的に証明する文書)などの必要書類を添付して、裁判所に提出することで行います。
また、不動産競売の手続費用として、100万円程度の予納金を裁判所に納付する必要があります。
不動産競売の開始決定
不動産競売の申立てが受理されると、裁判所が不動産競売を開始するとの決定を行います。
そして、この時点で、競売の対象となる不動産に差押えの登記がなされ、売却などの処分が禁止されます。
現地調査・価格評価
不動産競売の開始決定のあと、裁判所の指示で執行官が現地に赴き、競売の対象となる不動産の現況や権利関係を調査し、不動産鑑定士を同行させて不動産価格の評価を行います。
このような現地調査・価格評価の結果は、書類にまとめられて、裁判所で誰でも自由に閲覧できるようになります。
入札・売却
現地調査・価格評価が終わると、競売の対象となる不動産の最低売却価格などが決定され、競売の手続に進んでいきます。
競売の手続では、まずは裁判所が入札期間(買受希望者が購入希望額を申し出る期間)などを決定し、公告します。
そして、買受希望者は、入札期間内に、裁判所に買受希望額を届け出る入札を行います。
その後、開札期日(入札の結果を確認する日)に全入札者の買受希望額が確認され、最高額の入札を行った人が買受人に決定します。
代金の納付
競売の対象となる不動産を落札した買受人は、裁判所が指定する期間内に代金を納付します。
代金の納付は、現金一括払いとなります。
代金の納付により、競売の対象となる不動産の所有権は、買受人に移転します。
配当
代金が納付されると、その代金の配当の手続へと進みます。
配当の手続では、裁判所が指定する期間内に、相手方に対して債権を有する債権者が債権額の届出を行います。
そして、競売の手続にかかった費用、抵当権付きの債権、税金などが優先的に支払われ、残った金額が他の債権者に対して債権額に応じて分配されます。
以上が不動産の差押えの手続の流れとなります。
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