1 業種
製造業
2 事案の概要
ご相談企業様で、中途採用した従業員が、試用期間を終えて本採用になった直後から、社長や上司の指示を受け入れなかったり、給与等の待遇への不満を他の社員の前で公然と述べたりするなど、問題社員化する事案が発生しました。
対応に苦慮したご相談企業様の社長は、顧問弁護士である当方にご相談に来られました。
3 当事務所の対応
当事務所では、ご相談企業様の社長から、その従業員に関する情報と、問題行動の内容などの事実関係について、お聴き取りをさせていただきました。
そして、直ちに解雇等を実行することにはリスクが高いことを踏まえて、その従業員に対して注意・指導書を交付した上で、退職勧奨を行うことをご提案させていただきました。
注意・指導書の文面については、当事務所で検討・作成し、退職勧奨に向けて当事務所と連絡を密に対応していく手はずとなりました。
当事務所で文面を検討・作成した注意・指導書をその従業員に交付すると、その従業員は強く反発するとともに、ご相談企業様へ退職届を提出してきました。
その後、給与等の待遇がおかしいとか、ハラスメントを主張するなどして、労働基準監督署や労働局へ相談に回ったようでした。
しかし、当事務所でご提案させていただいた手順には何の隙もなく、労働基準法違反やハラスメントに該当する事項もありませんでしたので、その元従業員の主張が労働基準監督署や労働局に相手にされる見込みはないと考えられました。
そこで、当事務所では、ご相談企業の社長に対し、その元従業員の行動をとりあえずは静観し、ご相談企業への嫌がらせや名誉毀損・信用毀損などが発生した場合には、民事・刑事の厳正な措置を講じていくことを助言させていただきました。
結局、その後、その元従業員からは何のアクションもなく、収束に至りました。
4 対応のポイント
問題社員への対応は、どの業種の企業・法人様でも直面する可能性がある、典型的な労務問題の一つです。
安易に懲戒処分を出したり、解雇を言い渡したりするなど、対応を誤ったがために、深刻な法的トラブルに巻き込まれてしまう例が散見されます。
そこで、労務問題に詳しい弁護士にご相談いただきながら、個々の事案に適した対応を講じていくことが大切です。
今回の事案では、当事務所と顧問契約を締結いただいている企業様であったため、問題発生後にスムーズにご相談いただき、都度都度の情報共有を密に行いながら、注意・指導書の作成・交付、退職勧奨の段取り、退職後の対応に関する助言など、問題社員対応をフルサポートさせていただきました。
このように、顧問弁護士を付けることで、問題対応への迅速かつ充実したサポートが可能となりますので、是非ご活用いただければと存じます。