1 業種
建設業
2 事案の概要
顧問先企業様で、経理担当の従業員が会社の金銭を横領する事案が発生しました。
横領した金額は約30万円であり、当該従業員も事実関係を認めて、始末書を提出していました。
当該従業員は、身元保証人である父親とともに、顧問先企業様に対して謝罪と分割での返還の意向を示しており、顧問先企業様としても、横領された金額がきちんと返済されるのであれば、懲戒解雇ではなく自己都合退職とすることを認め、警察に刑事告訴するなどの対応はしないというご意向でした。
3 当事務所の対応
当事務所の弁護士は、顧問先企業様からのご相談を受け、「懲戒解雇ではなく自己都合退職とすることを認め、警察に刑事告訴することは控えるなどの温情をかけるのであれば、その引き換えとして、分割ではなく一括で返還するように要求するのが筋である」と助言させていただきました。
そして、顧問先企業様にて当該従業員および身元保証人である父親と再度の面談をした結果、身元保証人である父親から一括で全額の返済を受けることに成功しました。
そのうえで、当事務所の弁護士は、当該従業員と後々トラブルになることを防止するため、顧問先企業様と当該従業員との間で取り交わし、身元保証人である父親にも確認のサインを求める退職合意書を作成しました。
退職合意書には、当該従業員が自己都合退職すること、雇用保険の離職証明書の離職事由を「労働者の個人的な事情による離職」とすること、顧問先企業様の金銭を横領したことを認めて陳謝すること、横領した金銭は身元保証人である父親から全額返還済みであること、給与の支給は横領の発覚前に最後に出勤した日までの分とすること、当該従業員による横領等が新たに判明した場合等には請求等を行うことがあること、などを記載しました。
また、退職合意書には、「事実関係に間違いがなく、異議がございません」として身元保証人である父親にサインをさせる署名欄も設けました。
そして、当事務所の弁護士は、顧問先企業様に対し、作成した退職合意書を交付しました。
その後、顧問先企業様と当該従業員との間で退職合意書が取り交わされ、身元保証人である父親のサインも取り付けられました。
これにより、本件の横領の事案は、解決となりました。
4 対応のポイント
従業員による金銭の横領が発覚して対応にお困りの企業・法人様からのご相談は少なくありません。
このような横領事案が発生した場合には、横領された金額、横領をした従業員の態度、返還の有無・可能性、横領をした従業員との関係性、法的措置に踏み切る場合に想定される労力・時間・費用の負担など、様々な要素を考慮し、事実関係の調査・証拠の保全、解雇・懲戒処分、被害弁償の請求、刑事告訴など、様々な対応を検討・遂行することとなります。
当事務所では、これまでに、従業員による金銭の横領の問題について、多くの事案を取り扱って参りました。
従業員による金銭の横領についてお困りの企業・法人様がいらっしゃいましたら、当事務所にご相談いただければと存じます。