1 業種
不動産業
2 事案の概要
ご相談企業様(ビル管理)の保有物件(ビル)にて、賃貸借契約を締結するテナント(相手方)が賃料を1年以上滞納する事態となりました。
当該ビルは飲食店が多数入居する飲食ビルであり、相手方も1室を借りて飲食店を経営していましたが、相手方は同じフロアの他店舗ともトラブルになるなど、非常に問題のあるテナントでした。
そこで、ご相談企業様は、相手方との賃貸借契約を解除して、明け渡しを求めたいとのことで、当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
3 当事務所の対応
当事務所の弁護士は、ご相談企業様に対し、相手方が上記のように非常に問題のあるテナントであることから、まずは弁護士名で賃貸借契約の解除通知を送付し、裁判所に占有移転禁止の仮処分を申し立てたうえで、裁判所に建物(ビルの1室)の明渡請求訴訟を提起することをご提案させていただきました。
ここで、占有移転禁止の仮処分とは、賃借人が第三者へ物件を転貸するなどして、訴訟や強制執行による明け渡しを妨害することを禁止するための、裁判所の命令のことを言います。
そして、当事務所の弁護士が、ご相談企業様の同意を得たうえで、まずは弁護士名による賃貸借契約の解除通知の送付のあと、裁判所に占有移転禁止の仮処分を申し立て、これを認容する決定を得ました。
そのうえで、当事務所の弁護士が明渡請求訴訟を裁判所に提出したところ、相手方は1度裁判所に出頭してご相談企業様への不満を述べるなどの抵抗を示しましたが、やがて観念して当該ビルの1室を引き払って自ら出て行きました。
これにより、当該ビルの1室の明け渡しを受けるという依頼目的を完遂することができました。
4 対応のポイント
飲食ビルにおける賃料の滞納事案では、テナントが問題のある人物であることも珍しくなく、対応に苦慮するビルオーナーも少なくありません。
そのようなテナントに対しては、毅然とした態度で賃貸借契約の解除・明渡請求を求めていきたいところですが、勝手に鍵を変えて閉め出すような対応に出れば、違法な自力救済として損害賠償責任などを負うおそれがあります。
そのため、適正な手続により明け渡しを実現することが大切であり、まずは法律の専門家である弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。