1 業種
不動産業
2 事案の概要
ご相談企業様は、飲食店向けの貸店舗(1棟)を保有し、テナント(相手方)に賃貸していましたが、賃料が半年以上未納となる事態に陥りました。
相手方は、当該貸店舗で飲食店を経営していましたが、店を閉めて連絡が取れなくなっていました。
ご相談企業様は、相手方との賃貸借契約を解除して、当該貸店舗の明け渡しを求めたいとのことで、当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
3 当事務所の対応
当事務所の弁護士は、ご相談企業様に対し、相手方が逃げ回っている状況であることから、裁判所に明渡請求の訴訟を提起する必要があると考えられることをご説明させていただきました。
また、相手方がどのような素性の人か分からないため、念のため、裁判所に占有移転禁止の仮処分を申し立てるのが望ましいことをご説明させていただきました。
ここで、占有移転の仮処分とは、賃借人が第三者へ物件を転貸するなどして、訴訟や強制執行による明け渡しを妨害することを禁止するための、裁判所の命令のことです。
そして、当事務所の弁護士は、ご相談企業様の同意のもとに、まずは相手方宛てに賃貸借契約の解除通知を郵送したあと、裁判所に占有移転禁止の仮処分の申立てをし、これを認容する決定を受けました。
そのうえで、当事務所の弁護士は、裁判所に明渡請求訴訟を提起しました。
相手方は、賃貸借契約の解除通知、占有移転禁止の仮処分、明渡請求訴訟をことごとく無視したため、当該貸店舗の明け渡しを命じる判決が裁判所により下されました。
さらに、当事務所の弁護士は、上記の判決に基づき、裁判所に貸店舗の明け渡しの強制執行を申し立て、適正手続のもとに明け渡しを受けることに成功しました。
4 対応のポイント
不動産賃貸借における賃料滞納の事案では、テナントが逃げ回るために建物オーナーが対応に苦慮するというケースが少なくありません。
そうなると、適法に建物の明け渡しを受けるためには、賃貸借契約の解除通知、占有移転禁止の仮処分、明渡請求訴訟の手続を粛々と進めていくしかないのが通常です。
裁判所での仮処分や訴訟の手続は専門的で複雑なものであるため、法的手続の専門家である弁護士のサポートのもとにご対応いただくことをお勧めいたします。