不正競争防止法とは

弁護士下山慧

不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争等を確保するため、不正な手段による競争を規制する法律です。
不正競争防止法による規制対象と、不正競争防止法違反に対する民事的措置および刑事的措置は、以下のとおりとなります。

不正競争防止法の規制対象

①周知の商品等表示の混同惹起行為(2条1号)

他人の商品等表示として周知となっているものと同一もしくは類似の商品等表示を使用し、またはその商品等表示を使用した商品を提供して、他人の商品または営業と混同を生じさせる行為が、不正競争として規制されています。

②著名な商品等表示の冒用行為(2条2号)

自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一もしくは類似のものを使用し、またはその商品等表示を使用した商品を提供する行為が、不正競争として規制されています。

③他人の商品形態を模倣する商品の提供行為(2条3号)

他人の商品の形態を模倣した商品を提供する行為が、不正競争として規制されています。

④営業秘密等の不正取得・利用行為(2条4号~16号)

窃取・詐欺・強迫その他の不正の手段により営業秘密等を取得する行為や、不正取得行為により取得した営業秘密等を使用・開示する行為などが、不正競争として規制されています。

⑤技術的制限手段を無効化する装置等の提供行為(2条17号・18号)

技術的制限手段(信号方式や暗号方式により、影像・音の視聴、プログラムの実行、それらのコピーを制限する手段)の効果を妨げる機能を有する装置等を提供する行為が、不正競争として規制されています。

⑥ドメインネームの不正取得・使用行為(2条19号)

不正の利益を得る目的で、または他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一もしくは類似のドメイン名を使用する権利を取得等する行為が、不正競争として規制されています。

⑦商品等の品質内容の誤認惹起行為(2条20号)

商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途もしくは数量もしくは役務の質、内容、用途もしくは数量について誤認させるような表示をし、またはその表示をした商品を提供する行為が、不正競争として規制されています。

⑧信用毀損行為(2条21号)

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、または流布する行為が、不正競争として規制されています。

⑨代理人等の商標冒用行為(2条22号)

商標に関する権利を有する者の代理人等が、正当な理由なく、商標を無断使用等する行為が、不正競争として規制されています。

不正競争防止法違反に対する民事的措置

①差止請求(3条1項)

不正競争によって営業上の利益を侵害された者は、営業上の利益を侵害する者に対し、侵害の停止を請求することができます。
また、不正競争によって営業上の利益を侵害されるおそれがある者は、営業上の利益を侵害するおそれがある者に対し、侵害の予防を請求することができます。

②廃棄除去請求(3条2項)

不正競争によって営業上の利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者は、上記の差止請求に際し、侵害行為を組成した物や侵害行為によって作成された物の廃棄など、侵害の停止または予防に必要な措置を請求することができます。

③損害賠償請求(4条)

不正競争によって利益を侵害された者は、故意または過失によって不正行為を行った者に対し、不正競争によって生じた損害の賠償を請求することができます。

④損害賠償額の推定(5条)

不正競争防止法違反による損害賠償請求では、立証の困難性を緩和するために、反証がない限り、一定の計算式によって算出された金額を損害額と認定する旨の規定があります。

⑤書類提出命令(7条)

不正競争防止法違反に関する訴訟では、裁判所は、当事者の申立てにより、侵害行為の立証または損害額の計算のために、必要な書類の提出を命ずることができます。

⑥秘密保持命令(10条~12条)

不正競争防止法違反に関する訴訟では、裁判所は、当事者の申立てにより、一定の要件のもとに、当事者等に対し、営業秘密を訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、第三者に開示してはならない旨を命ずることができます。

⑦信用回復措置(14条)

不正競争によって利益を侵害された者は、故意または過失によって不正行為を行った者に対し、営業上の信用を回復するのに必要な措置(謝罪広告の掲載など)を請求することができます。

不正競争防止法違反に対する刑事的措置

①罰則(21条)

不正競争防止法違反の行為に対し、懲役刑および罰金刑が定められています。

②法人両罰(22条)

企業・法人の代表者・従業員等が業務に関して不正競争防止法違反の行為をしたときは、行為者が罰せられるほかに、企業・法人にも罰金刑が科されることが定められています。

③国外での行為に対する処罰(21条6項・7項・8項)

国外での不正競争防止法違反の行為に対しても、罰則が適用されることが定められています。

④営業秘密の不正取得・利用行為による不当収益の没収(21条10項)

営業秘密の不正取得・利用行為によって得られた不正な収益が没収されることが定められています。

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