この記事を書いた弁護士
弁護士・木村哲也
代表弁護士
主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。
退職代行にどう対応すべきか?
近年、退職代行が流行しています。
退職代行とは、従業員本人に代わって弁護士や代行業者が退職の意思を勤務先へ伝えるサービスのことを言います。
費用は、3万円~5万円程度が相場のようです。
退職代行は、なぜ利用されるのでしょうか?
退職代行が利用される理由としては、
①従業員が自分で退職の話を職場へ切り出す心理的ハードルが下がる。
②従業員が退職の意向を職場へ伝えても、すんなりと退職させてもらえない(と思っている)。
③社長・上司と顔を合わせずに退職できる。
などが挙げられます。
退職代行の適法性も問題となります。
弁護士が従業員本人に代わって退職の意思を表示することは、適法であるとされます。
そして、弁護士以外の代行業者が行う退職代行の適法性については、
Ⅰ 弁護士でなくても退職の意思を伝えること自体は適法である。
Ⅱ 弁護士でなければ退職条件(業務の引き継ぎ、残業代、損害賠償など)の代理交渉を行うことは違法である(※1)。
Ⅲ 弁護士が退職代行を行う場合には、代理交渉が可能である。
と整理することができます。
※1 弁護士法という法律により、弁護士以外の者が報酬を受け取って代理交渉を行うことは違法であるとされています。
退職代行からの連絡を受けた会社側の対応としては、
ア 上記の整理に従って退職代行の適法性を検討する(弁護士以外の代行業者による違法な代理交渉は拒否する)。
イ 本人の意思を確認し、回答する。
ウ 退職届の受理・離職票の発行など、退職手続を履行する。
となります。
なお、企業としては、従業員側が退職に関する法的ルール(例えば、正社員であれば2週間前までに退職の意思表示をすること)を守っている限りは、基本的に従業員の退職を拒否することはできません。
また、弁護士が退職代行を行っている場合には、会社側から従業員本人への直接連絡はしてはいけません(※2)。
必ず弁護士を窓口として対応しましょう。
逆に、弁護士以外の代行業者が退職代行を行っている場合には、代行業者を交渉窓口とする必要はありません。
※2 弁護士が代理人となって交渉しているにもかかわらず、弁護士の頭越しに本人へ直接連絡することが違法となり得ると判示した東京地方裁判所平成17年9月13日判決があります。
以上が退職代行の概要および退職代行からの連絡を受けた会社側の対応となります。
実際に退職代行からの連絡を受けた場合に対応に迷うことも多いと思いますので、まずは弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。
記事作成弁護士:木村哲也
記事更新日:2021年6月22日
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