弁護士・木村哲也
代表弁護士

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。

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1 はじめに

製造業・建設業・解体業では、周辺住民等から工場・工事などの騒音・振動に関するクレームを受けることが少なくありません。

今回のコラムでは、工場・工事などの騒音・振動に関するクレーム対応のポイントについて、ご説明させていただきます。

2 騒音に関するクレーム対応

周辺住民等から工場・工事などの騒音に関するクレームを受けた場合、法的に問題のある騒音と言えるかどうかがまず問題となります。

この点、「騒音・振動などが周辺住民等の受忍限度を超える場合には法的に問題がある」とされる「受忍限度論」という考え方が一般的にとられています。
そして、騒音が受忍限度を超えるかどうかは、「騒音規制法」という法律の規制基準を超えているかどうかが基準とされるのが通常です。

騒音規制法では、工場・工事などの騒音について、都道府県知事または市長が規制基準を定めるものとされています。
そして、例えば青森市では、青森市公害防止条例施行規則により、以下のような規制基準が定められています。

【工場等に係る騒音の規制基準】

時間の区分 基準値(dB)
午前6時から午前8時まで(朝) 50
午前8時から午後7時まで(昼) 55
午後7時から午後9時まで(夕) 50
午後9時から翌日午前6時まで(夜) 45

※工場または事業場において発生する騒音の敷地境界線における許容限度として適用されます。
※市長が指定する騒音規制区域、都市計画法における工業専用地域および臨港地区については、別途規制基準が定められています。

【特定建設作業に係る騒音の規制基準】

基準値 85dB
作業日時等 ・午後7時から翌日午前7時までは行わないこと。
・1日10時間を超えて行わないこと。
・連続して6日を超えて行わないこと。
・日曜日その他の休日には行わないこと。

※特定建設作業とは、騒音規制法施行令別表第二に掲げる作業です。
※基準値は、特定建設作業を行っている敷地の境界線における許容限度として適用されます。
※市長が指定する騒音規制区域、都市計画法における工業専用地域および臨港地区については、別途規制基準が定められています。

上記のような規制基準を超えている場合には、防音対策を講じることにより騒音のレベルを下げる必要があります。
そうしなければ、裁判を提起され差止や慰謝料等の支払を命じられるリスクがあります。

また、上記のような規制基準を超えていない場合であっても、周辺住民等からのクレームがあれば、可能な限りの防音対策を講じることが望ましいです。
ただし、受忍限度を超えていないと判断される可能性が高いため、慰謝料等の金銭的な請求については断るのが正しい対応となります。

3 振動に関するクレーム対応

周辺住民等から工場・工事などの振動に関するクレームを受けた場合にも、同様に受忍限度論の考え方が適用されます。
振動が受忍限度を超えるかどうかは、「振動規制法」という法律の規制基準を超えているかどうかが基準とされるのが通常です。

振動規制法では、工場・工事などの振動について、都道府県知事または市長が規制基準を定めるものとされています。
そして、例えば青森市では、青森市公害防止条例施行規則により、以下のような規制基準が定められています。

【工場等に係る振動の規制基準】

時間の区分 基準値(dB)
午前8時から午後7時まで(昼間) 60
午後7時から翌日午前8時まで(夜間) 55

※工場または事業場において発生する騒音の敷地境界線における許容限度として適用されます。
※市長が指定する振動規制区域、都市計画法における工業専用地域および臨港地区については、別途規制基準が定められています。

【特定建設作業に係る振動の規制基準】

基準値 85dB
作業日時等 ・午後7時から翌日午前7時までは行わないこと。
・1日10時間を超えて行わないこと。
・連続して6日を超えて行わないこと。
・日曜日その他の休日には行わないこと。

※特定建設作業とは、振動規制法施行令別表第二に掲げる作業です。
※基準値は、特定建設作業を行っている敷地の境界線における許容限度として適用されます。
※市長が指定する振動規制区域、都市計画法における工業専用地域および臨港地区については、別途規制基準が定められています。

規制基準を超える振動が発生している場合には、防振・制振の措置を講じる必要があります。
振動が受任限度を超えていると判断される可能性が高く、慰謝料等の損害賠償責任を負うリスクがあるからです。

そして、振動が規制基準を超えていない場合であっても、周辺住民等からのクレームがあれば、可能な限りの防振・制振の措置を講じることが望ましいと言えます。
ただし、基本的に受忍限度を超えていないと判断されると考えられますので、慰謝料等の金銭的な請求については断るようにしましょう。

4 弁護士にご相談ください

当事務所では、工場・工事などの騒音・振動に関するクレーム対応のご相談・ご依頼実績がございます。

クレーム対応に関するアドバイス、周辺住民等に対する説明の同席対応、代理人としてのクレーム窓口対応など、様々なサポートを承っておりますので、クレーム対応についてお困りの企業様は当事務所にご相談ください。

記事作成弁護士:木村哲也
記事更新日:2024年7月19日

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