この記事を書いた弁護士

弁護士・下山慧
八戸シティ法律事務所 在籍

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。
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1 シフトカットとは?

シフトカットとは、会社都合により、元々組まれていた従業員の勤務日数や勤務時間を削減ないし短縮することを言います。

例えば、予約がキャンセルされたことで売り上げが悪いため「今日は出勤しなくて大丈夫。」と伝えたり、客足が鈍いため「今日はもう帰っていいよ。」と伝えたりするなど、元々組まれていたシフトから外す場合や、雇用契約書では週5日勤務としていたのに実際には勤務日数がそれ以下の日数であった場合、などが該当します。

なお、シフトカットは、あくまで、会社都合である場合を指し、従業員の自主都合による場合は含まれません。

2 会社都合のシフトカットは違法になる?

結論として、会社がシフトカットをすること自体は、適法と判断される可能性が高いです。

なぜなら、会社は従業員に対して業務の指揮監督権があり、その中には仕事をせず自宅に待機することを指示する権限も含まれているためです。

3 休業手当について

一方で、会社がシフトカットをすれば、従業員からすると収入が減ることになり、生活に支障が出ることも考えられます。

このような弊害を避けるため、労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合には、会社は平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないとされています。

ただし、休業手当の支払いが生じるのはあくまで「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合となります。
例えば、自然災害、緊急事態宣言、計画停電などの不可抗力、つまり、企業側の努力だけでは回避できない理由による休業の場合には、休業手当の支払義務は生じないものとされています。

なお、休業手当の支払対象は、労働者全員となります。
そのため、正社員かどうかは問わず、雇用契約さえしていれば、パートやアルバイトの従業員も休業手当の支払対象となります。

4 シフトカット時における休業手当の計算

上述したとおり、休業手当は、平均賃金の60%以上の金額を支払わなければなりません。
ここで言う平均賃金とは、
「算定時点の前3か月間に支給された賃金の総額÷当該期間の総日数」
という計算によって算出されます。
この計算によって得られた平均賃金に60%を掛けた金額が、休業手当の最低額となります。

ただし、この計算によると、パートやアルバイトの従業員の場合には労働日数自体が少ない傾向にあることから、平均賃金が低額になってしまうことも少なくありません。
このようなことから、時給制や日給制の労働者については、平均賃金の最低保障額が定められています。
この平均賃金の最低保障額は、
「算定時点の前3か月間に支給された賃金の総額÷当該期間中の実労働日数×60%」
という計算によって算出されます。

つまり、パートやアルバイトの従業員に対して休業手当を支給する場合には、平均賃金額と最低保障額を比べていずれか高い方を基準とし、その基準額に60%を掛けた金額以上の休業手当を支給しなければなりません。

5 弁護士にご相談ください

会社としては、人件費を削減するために、シフトカットに踏み切る決断を迫られる場面もあり得るしょう。

もちろん、法律上の規定では、会社としては、平均賃金の60%以上の休業手当を支払えばそれでよいことにはなっていますが、安易にシフトカットをしてしまうと、従業員のモチベーションの低下や退職に繋がりかねません。

そのため、シフトカットを行うにあたっては、できるだけ従業員の意見聴取をして勤務時間や休日を調整したり、労働者との間で勤務日数を減らす代わりに勤務時間を増やしたりするなどの変更・調整を図ることが望ましいでしょう。

シフトカットの必要性、実施した場合のリスク、休業手当の支給の要否等について、不安・疑問がある場合には、一度、当事務所の弁護士にご相談いただければと存じます。

記事作成弁護士:下山慧
記事更新日:2024年10月30日

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