1 業種
卸売業・小売業
2 事案の概要
ご相談企業様で、取引先から商品の納入を受けるに当たって、取引先の仙台市の拠点に商品が搬入された時点で残代金の請求を受けたものの、取引先の信用不振に関する情報をつかんだため、取引先と支払時期に関する再協議を要する(つまり、商品が実際にご相談企業様に納入されるまで、残代金を支払うわけにはいかない)という案件が発生しました。
ご相談企業様の社長は、顧問弁護士である当方に再協議に臨むに当たってのアドバイスを求めてご相談に来られ、さらに再協議の席への同席対応を要請されました。
3 当事務所の対応
当事務所では、ご相談企業様の社長および担当者から、その取引に関連する情報や、取引に関係する資料の提供を受け、内容を精査しました。
その結果、契約書等では残代金の支払時期が商品の納入時と記載されているものの、取引先の仙台市の拠点に商品が搬入された時点が支払時期であるとはどこにも記載されていないことが判明しました。
また、ご相談企業様の社長および担当者からの事情聴取により、口頭やメールなどにおいても、残代金の支払時期について、取引先の仙台市の拠点に商品が搬入された時点とする明確な取り決めがなされた経緯はなく、取引先が何となく仙台市の拠点に商品が搬入された時点で商品の納入と同視できるかの前提で残代金の請求をしてきている実態が分かりました。
そこで、ご相談企業様の社長および担当者と当事務所との協議のうえ、取引先との再協議に当たっては、取引先の仙台市の拠点に商品が搬入されたに過ぎない現時点では残代金の支払には応じられないこと、商品が実際にご相談企業に納入された時点で残代金を支払うことを主張するという方針で臨むことが取り決められました。
そして、再協議の席においてご相談企業様の主張およびその根拠をしっかりと取引先に伝えて、優位に話し合いを進行させられるように、顧問弁護士である当方が再協議の席への同席対応を行うこととなりました。
再協議の席では、事前に顧問弁護士である当方が同席対応することを取引先には告知せず、取引先がご相談企業様のもとに再協議に訪れた際に、ご相談企業様の顧問弁護士兼代理人として同席対応する旨を告げ、話し合いをスタートしました。
取引先は、当初、すでに取引先の仙台市の拠点に商品が搬入されたことから、残代金をすぐに支払うようにご相談企業様に迫りました。
これに対し、顧問弁護士である当方が話し合いの舵取りを行うとともに、ご相談企業様の主張およびその根拠をしっかりと伝えることで、話し合いを優位に進めていきました。
そして、最終的には、商品が実際にご相談企業様に納入された時点で残代金を支払うことで取引先が納得し、ご相談企業様のご希望どおりに再協議をまとめることができました。
そして、その日のうちに、当事務所において再協議で取り決めた事項を記載した合意書を作成し、ご相談企業様および取引先がサインすることで、合意成立となりました。
後日、取引先からご相談企業様のもとに商品が納入され、ご相談企業様から取引先に残代金が支払われたことで、無事取引が完結しました。
4 対応のポイント
当事務所の顧問サービスにおいては、交渉・協議の席に弁護士が同席対応することも積極的に行っています。
交渉・協議の相手方に弁護士の同席対応を事前告知せずに行うことも多いですが、代理交渉の権限が法律上認められた弁護士の同席対応を交渉・協議の相手方が拒否することはできませんし、交渉・協議のプロである弁護士が前面に出て話し合いをサポートするわけですから、その効果は絶大です。
交渉・協議の席に顧問弁護士が同席対応するサービスは、他の法律事務所ではあまり行っていないようであり、当事務所の顧問先企業様からの満足度は非常に高いです。
また、本件の事案においては、商品の納入の対価である残代金の支払時期が焦点となりました。
交渉・協議のプロである当事務所の弁護士の目をもってすれば、契約書等の取引関係資料といった客観的資料によって、取引先の主張する残代金の支払時期を裏付けることは困難であり、また、最終的には、現時点での残代金の支払に固執するよりも、さっさと商品をご相談企業様のもとに納入して残代金を支払ってもらう方が得策であると取引先が判断するであろうことは、正確に見通すことができました。
あとは、ご相談企業様が取引先に変に言いくるめられないように、弁護士が再協議の場に同席対応して話し合いの流れを支配することで、ご相談企業様のご希望をほぼ確実に実現することができるであろうという見立てでした。
当事務所の弁護士による適切な事案の見立てと、交渉・協議への同席対応サービスとが見事に功を奏し、ご相談企業様の法的ニーズにしっかりとお応えすることができました。