1 業種
建設業
2 事案の概要
ご相談企業様において、建設工事現場での労働災害(労災)が発生しました。
ご相談企業様に安全配慮義務違反があり、損害賠償責任を負う事案でした。
労働災害の発生後、すぐに労災保険が適用となりましたが、治療中の段階で、被害者からご相談企業様に対して、当面の生活費等にあてる一時金の請求が出されるなど、ご相談企業様は被害者対応に苦慮していました。
そこで、ご相談企業様は、今後の被害者対応について、顧問弁護士である当方にご相談に来られました。
3 当事務所の対応
当事務所は、被害者対応の窓口を顧問弁護士である当方に移管したうえで、治療終了後の示談交渉まで対応させていただくのがベストであると判断しました。
そして、ご相談企業様の委任のもとに、被害者宛てに、今後は当事務所が交渉窓口となる旨を記載した郵便を送付しました。
そして、当事務所は、被害者が立ててきた弁護士と交渉し、ご相談企業様が損害賠償金の内金として一定額を支払う代わりに、被害者は最終的に示談が成立するまでは追加の内金請求を行わないことを内容する合意書を取り交わしました。
その後、被害者の治療が終了し、障害等級の認定がなされました。
その上で、被害者側の弁護士から、3000万円を超える損害賠償を請求する旨の提示がありました。
当事務所は、ご相談企業様と協議の上で、被害者側の損害額の計上が過大であること、被害者側にも過失があることなどを主張し、減額を求めて粘り強く示談交渉を行いました。
当事務所による示談交渉の結果、最終的に、損害賠償額を約1000万円とする内容で示談の成立に至りました。
訴訟(裁判)の提起に発展させずに、示談交渉による大幅減額に成功しました。
4 対応のポイント
労働災害による損害賠償問題は、建設業や製造業、貨物取扱業などの業種で多く発生する法的トラブルです。
使用者賠償責任保険の加入の有無にかかわらず、被害者対応や示談交渉は自社で行うのが原則となりますが(使用者賠償責任保険は、自動車保険とは異なり、保険会社による示談代行はありません)、対応に当たる方のご負担は非常に大きいものです。
顧問弁護士がいれば、被害者対応や示談交渉を一任することができますので、対応負担を大幅に軽減しながら、適正な解決を図ることが期待できます。