1 業種
建設業
2 事案の概要
ご相談企業様で、退職した従業員が弁護士に依頼し、約650万円の未払い残業代の支払を求める訴訟を起こしてくるというトラブルが発生しました。
ご相談企業様は、顧問弁護士である当方にご相談に来られ、訴訟への対応をご依頼いただくこととなりました。
ご相談企業様では、相手方(退職した従業員)に対し、基本給が残業代込みであることを口頭で説明していました。
しかし、このような口頭での説明をもって残業代の支払を免れるという主張は、裁判所に受け入れてもらえる可能性がほとんど皆無でした。
一方で、相手方が残業代計算のベースとなる労働時間を実際よりも水増しし、未払い残業代を過大に請求していると、ご相談企業様からの説明がありました。
3 当事務所の対応
当事務所の弁護士は、ご相談企業様と協議のうえ、相手方が主張する労働時間を徹底的に争って、未払い残業代の金額を切り下げる方針で訴訟対応に当たることとしました。
そして、当事務所の弁護士は、相手方の作業日報、相手方と同じ現場で作業をしていた他の従業員の作業日報および証言、事務所のセキュリティシステムの開始・解除の時刻などを細かく分析し、相手方が実際には業務に従事していない時間を労働時間から除外することを個別具体的に主張・立証していきました。
その結果、裁判所は、当事務所の弁護士の主張のうち、かなりの部分を採用し、相手方が主張する労働時間を大幅にカットする前提で、350万円の残業代を支払う内容での和解案を提示してきました。
ご相談企業様がこの裁判所和解案に応じる意向を示し、相手方も同様に裁判所和解案に応じるとの回答であったため、350万円の支払による和解が成立しました。
当事務所の弁護士の粘り強い訴訟活動により、相手方の請求額650万円から300万円を引き下げることに成功しました。
4 対応のポイント
未払い残業代請求の問題は、労働時間が長く、残業代が高額となる場合には、従業員側から訴訟が提起され、訴訟での解決を図ることとなることが多いです。
未払い残業代の請求を退け、あるいは減額するための理論構成、および訴訟での具体的な主張・立証活動は、複雑・困難を極めることが多いと言えます。
ご相談・ご依頼いただく弁護士としては、未払い残業代請求の問題に精通し、企業側の言い分について、粘り強く主張・立証してくれる弁護士を選ぶべきでしょう。