1 業種
運送業
2 事案の概要
ご相談企業様で、自社所有の土地(駐車場)に元従業員の自動車が長年放置されていることが発覚するという事案が発生しました。
当該元従業員は刑事事件で逮捕され、その後、本人および身元保証人との連絡が取れなくなっていました。
ご相談企業様の前担当者が当該放置車両の存在を把握しながら、そのままにして手を打てずにいたところ、新たな担当者に代わったところで問題が発覚し、適正に撤去を進めていきたいとのことで、当事務所に対応をご相談いただきました。
3 当事務所の対応
当事務所の弁護士は、ご相談企業様が独断で自動車の撤去をしてしまうと、器物損壊罪が成立し得ることや、後々自動車の所有者から損害賠償請求を受けるおそれがあることなどをご説明し、車両撤去に向けた法的手続をご依頼いただくこととなりました。
そして、当事務所の弁護士は、当該放置車両の所有者の現住所を調査しましたが、突き止めることができませんでした。
そこで、当事務所の弁護士は、当該放置車両の撤去を求める訴訟を裁判所に提起し、撤去を認容する判決を得ました。
なお、訴訟を提起する際には、所在不明の相手方を訴える際に利用できる「公示送達」という制度を使って手続を進めました。
次いで、当事務所の弁護士は、上記の判決に基づく強制執行を裁判所に申し立て、当該放置車両の撤去を完了しました。
4 対応のポイント
自社の敷地内に放置された自動車は、手をこまねいているうちに何年も経過し、所有者等へのアクセスが困難になる事案も少なくありません。
このとき、自社の独断で撤去・処分を進めると、器物損壊罪・損害賠償責任などの法的責任を負わされるリスクがあるため、適正手続のもとに撤去を行うことをお勧めいたします。
本件のように訴訟・強制執行を行う必要のある事案も珍しくありませんので、弁護士のサポートのもとに適正に法的手続を進めることが大切です。