債権回収を考える際には、すでに発生した未収金債権の回収はもちろん大切ですが、そもそも未収金トラブルを発生させないための予防策を講じていくという観点も必要です。
以下では、未収金トラブルを発生させないための予防法について、ご説明させていただきます。

①取引先情報の把握

取引関係に入る際に、取引先の情報を把握しておくことが、未収金トラブルの予防において有効です。
取引先の様々な情報を把握しておくことで、未収金が発生した場合にはスムーズに債権回収の手続に入ることが可能となります。
また、取引先情報を握っておくことで、未収金を発生させればすぐに法的措置や差押えを受けるかもしれないと取引先を警戒させ、期限内に任意の支払を促す効果も期待できるでしょう。

【個人の顧客】
取引の申込書に顧客情報を記載させたり、契約時の必要書類として提出させたりして把握することが考えられます。

免許証・保険証
住民票・印鑑登録証明書
住所の把握:内容証明郵便の送付など
勤務先の情報 給与の差押えなど
預金口座の情報 預金口座の差押えなど

【法人の顧客】
契約締結時の交渉を利用して、取引先情報を把握することが考えられます。
また、信用調査会社を利用して、情報を取得することも考えられます。

商業登記簿 法人の本店所在地・代表者の住所の把握:
内容証明郵便の送付など
取引銀行・取引先の情報 法人の資産状況の把握・預金口座や売掛金債権の差押えなど
帳簿・決算書 法人の資産状況の把握・法人の資産の差押えなど

②契約書等の整備

取引の際に契約書等を整備しておくことは、未収金トラブルを防止するための事前対策として有効です。
契約書には、次に挙げるような条項を盛り込むことで、債権の回収と保全に効果を発揮します。
また、契約書以外にも、納品書や請求書など、取引の事実や内容を裏付ける資料は、きちんと作成するようにしましょう。
債権回収を図る際の証拠として、非常に重要です。

条項
内容
連帯保証人 取引先が債権の支払をしない場合に、連帯保証人が代わりに支払義務を負う。
保証金 数か月分の取引額に相当する保証金を事前に納付してもらう。
所有権留保 代金の支払が完済しときに、商品の所有権が買主に移転する(代金完済前は、商品の所有権が売主に留保される)。
期限の利益
の喪失条項
代金の支払が遅れた場合や、財産状態が悪化したと認めるに足りる相当な理由がある場合に、期限の利益を喪失し、債権の全額一括払いを要する。
不安の抗弁権 例:債権の保全のために必要と認めたときには、買主から適切な保証を受け取るまで、商品の引渡しを中止することができる。
契約の解除 例:第三者から差押え・仮差押え・仮処分を受けたとき、その他財産状態が著しく悪化し、またはそのおそれがあると認められる相当の理由があるときは、契約を解除することができる。
相殺 例:債権債務の弁済期のいかんにかかわらず、対当額にて相殺することができる。
情報の提供 例:買主は、事業年度終了後3か月以内に、監査済みの貸借対照表、損益計算書、その他売主が求める書類を提出しなければならない。

③担保・保証

取引先に連帯保証人を立てさせることによって、取引先が債権の支払を怠った場合に、連帯保証人に請求することで債権回収を図ることが可能となります。
また、取引先が保有する不動産に抵当権を設定するなど、担保を取っておくことで、債権の支払が滞った場合の引き当てとすることができます。

④弁護士との連携

以上のように、未収金トラブルを発生させないための予防策としては、様々なものが考えられます。
契約書等の整備については、法律の専門家である弁護士のサポートを受けながら、整備を進めていくのが確実です。
弁護士に契約書等の整備をお任せいただくことで、未収金トラブルを予防するために必要な条項を網羅することのほか、様々な経験を踏まえて取引上のリスクを想定し、それに対応できる契約書等を作成することが可能です。

また、取引先情報の把握や担保・保証についても、契約書等の整備や弁護士による事後的な回収対応とも連動してくるものですから、一連の未収金トラブルへの予防策の構成要素として、弁護士と連携しながら構築・運用していくのがよいでしょう。

当事務所の弁護士は、これまでに、地域の企業・法人様から、債権回収に関するご相談・ご依頼を多数お受けし、未収金トラブルについての予防策のサポートも承って参りました。
債権回収や未収金トラブルの予防についてお悩みの企業・法人様がいらっしゃいましたら、当事務所にご相談いただければと存じます。

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