はじめに

訴訟(裁判)の手続で支払を命じる判決を得た場合や、支払を約束する訴訟上の和解が成立した場合において、相手方がそれでも支払をしないときには、相手方の財産の差押え(強制執行)による債権回収を検討することとなります。
差押えのターゲットとなる相手方の財産としては、預金が有力な対象候補となることが多いでしょう。
このページでは、預金の差押えによる債権回収のポイントについて、ご説明させていただきます。

預金の差押手続の流れ

①債権差押命令の申立て

相手方の預金を差し押さえるためには、まずは裁判所に債権差押命令の申立てを行います。
債権差押命令の申立てを行うためには、訴訟手続で支払を命じる判決を得るとか、支払を約束する訴訟上の和解が成立するなど、「債務名義」と言って、債権について差押えを可能とする公的な証明を受けていることが必要です。
そのため、訴訟などの手続を経ずにいきなり相手方の預金を差し押さえることはできません。
債権差押命令の申立ては、所定の事項を記載した債権差押命令申立書を作成し、債務名義(判決書・和解調書など債権について公的に証明する文書)などの必要書類を添付して、裁判所に提出することで行います。

②差押命令

裁判所で債権差押命令の申立てが受理されると、裁判所から「差押命令」という文書が相手方および金融機関へ郵送されます。
差押命令が金融機関へ送達された時点での預金口座の残高が差押えの対象額となります。
差押命令を受けても、相手方の預金口座が凍結されることはなく、その後も入金が行われる可能性もありますが、差押命令の後に入金されたお金は差押えの対象とはなりません。

③差押え・回収

金融機関は、差押命令を受けると、相手方の預金口座から差押えの対象額を引き落とし、差押口という別口座へ移管することとなります。
そして、差押口へ移管された金額について、金融機関から引き渡しを受けることで回収が実現されることとなります。
金融機関からの金銭の受け渡しの方法については、金融機関との話し合いによって決まりますが、振込手数料を差し引いて指定口座に送金してもらう方法とするのが一般的です。

預金の差押えの注意点

金融機関名および支店名を特定する必要がある

預金を差し押さえるためには、金融機関名(〇〇銀行、〇〇信用金庫など)はもちろんですが、支店名まで特定する必要があります。
回収の見込みのある預金口座の情報が不明の場合には、金融機関名および支店名を調査しなければなりません。
相手方が企業・法人の場合には、帝国データバンクや東京商工リサーチなどで情報を購入することによって、取引金融機関および支店が判明することがあります。
また、支払を命じる判決などの債務名義がある場合には、弁護士が地域の主要な金融機関に対し、弁護士会を通じて弁護士法23条の2に基づく照会を行うことで、その金融機関の全支店を対象とする預金口座の有無・残高・取引履歴について回答を受けることができます。
このような弁護士法23条の2に基づく照会によって、回収の見込みのある預金口座の情報を得られるケースも多々あります。

差し押さえる前に預金口座から払戻をされることがある

預金は、口座から払い戻すことが容易であるため、差し押さえる前に払い戻して隠されてしまうおそれがあります。
預金口座から払い戻されてしまったお金については、差押えの効力は及びません。
差し押さえた時点で預金口座にお金がなければ、差押えが空振りに終わってしまうことになるのです。
預金の差押えの確実性を高めるためには、事前に相手方の預金口座に関する情報をきちんと調査し、把握しておくことが大切です。
また、預金口座の残高が多くなることが予測されるタイミング(大口の入金が予想されるタイミングなど)を見極めて差し押さえるなどの工夫が功を奏することもあります。

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